親権者の指定

最終更新日:2017/07/16

 

親権者を決めなければ離婚はできません

夫婦間に未成年のお子様がいる場合、夫婦のどちらか一方を親権者と決めなければ離婚届は受理されません。 協議離婚の場合、夫婦間で協議して親権者を決めることになりますが、早く離婚届を提出したいがために、とりあえず親権者を記入して、後からもう一度じっくりと話し合って決めればいいとは思っていませんか。

 

離婚後に親権者を変更する場合は、当事者間の合意だけで変更することはできず、家庭裁判所の審判または調停によって行う必要があります。そのため、一度親権者を定めてしまうと、その後の親権者の変更は難しくなりますので、一時の感情で決めるのではなく、お子様の利益と福祉を考えて決めることが大切です。

 

 

親権とは

 

親権とは、未成年の子供が一人前の社会人になれるように養育・保護し、子供に財産があればその財産を維持・管理するための親の権利と義務です。親権は下記のように「身上監護権」と「財産管理権」の二つに分けられます。

 

身上監護権  身分行為の代理権
居住指定権(子どもの住む場所を指定する権利)
懲戒権(子どもが悪いことをしたときに戒めたり罰を与えたりする権利)
職業許可権(子どもが仕事をするときに許可を与える権利)
財産管理権 包括的な財産の管理権(財産を法的に管理する権利)
法律行為に対する代理権・同意権(契約などの代理・同意をする権利)

 

夫婦間に未成年のお子様が複数いる場合は、それぞれに親権者を指定する必要があります。どちらか一方が全員の親権を持つこともできますし、例えば二人のお子さまがいる場合、一人は夫、もう一人は妻となるように分けることも可能です。

 

 

親権者と監護者を分ける方法

 

親権と監護権の分離

協議離婚においては、夫婦間で協議して、親権の中から「身上監護権」のみを取り出し、どちらかがその権利(監護権)を取得する方法もあります。

 

つまり、親権者と監護者を分けることもできるということです。例えば、母親は親権がなくても、子供と一緒に暮らせればそれで十分と考えるならば、親権者を夫、監護者を妻に指定し、離婚を成立させることも可能です。

 

分離の問題点

親権と監護権を分けることには問題点もあります。親権者ではない監護者は、法律行為に対する同意権等を持たないことになりますので、お子様の氏の変更や各種申請等でその都度親権者の協力が必要になり、社会生活上不都合をもたらすことがあります。

 

そのため、それでもなお分離することが望ましい場合や、離婚後もお子様のために協力し合える関係が築けるという場合を除き、親権者と監護者を分けて指定することはおすすめできません。

 

 

親権の取り決めをする際に気を付けること

 

連れ子を養子縁組している夫婦が離婚する場合

よくあるケースとして、いわゆる子連れ再婚し、その子供と再婚相手が養子縁組をしているケースです。このような夫婦が離婚する場合、離婚届と離縁届を提出する順番によって、親権者の指定が必要かどうかが異なります。

 

例えば、子連れのAがBと再婚し、Aの子供C(未成年者)とBが養子縁組をした場合において、その後AとBが離婚するときは、原則として子供Cの親権者の指定が必要になります。

 

ただし、離婚をする前に離縁していれば(まず離縁をしてから離婚するという順番ならば)、離縁によってCはAの単独親権となりますので、親権者の指定は不要になります。なお、再婚に際して、BとCが養子縁組していなければ、婚姻中もAの単独親権のままとなっていますので、離婚の際に親権者の指定は必要ありません。

 

未成年者の婚姻による成年擬制

親権に服する未成年者の子供が婚姻した場合、民法の規定により成年に達したものとみなされます(成年擬制)ので、その子について親権者の指定は必要ありません。

なお、たとえその子が成年に達する前に離婚した場合でも成年とみなされ続けると考えられています。

 

離婚時に妊娠している場合

離婚時に妊娠している場合、離婚後に生まれた子供の親権者は自動的に母親となりますので、離婚時にまだ生まれてきていない子供の親権者を定める必要はありません。子供が生まれた後に父母が協議をして父親を親権者にすることもできます。

 

なお、まだ生まれてきていない子供の養育費については、当事者間の協議により、出生前であっても出生を条件とした養育費の支払い約束を合意することは可能です。

 

将来、親権者の変更をする合意

離婚後に親権者を変更する場合は、当事者間の合意だけで変更することはできず、家庭裁判所の審判または調停によって行う必要があります。

 

そのため、離婚協議書に「子が○歳になったときは親権者を変更する」などの記載があったとしても、それだけでは当然に親権者が変更されることはありません。したがって、当事者間で親権者を一定期間後に変更するなどの条件付きの親権者変更の合意はできません。

 

なお、離婚後に親権者の変更を申立てない、親権者を変更しないなどという合意は無効となります。その理由は、民法は子の利益のために必要があるときは親権者の変更を認めており(819条6項)、この規定は強行法規(当事者の意思いかんにかかわらず適用される規定)とされているためです。